ジブリ映画『魔女の宅急便』には印象的なキャラクターが数多く登場しています。
その中でも魔女修行中のキキに大きな影響を与える人物が、画家志望の女の子『ウルスラ』ですよね。
ポニーテールで手足の露出が多い元気なお姉さんといったイメージですが、明るい彼女にもそれなりに悩みはあるようです。
この記事では、なぜか映画内で名前が登場しない絵描きのウルスラの正体や年齢、名言について解説していきます。
魔女の宅急便の絵描きのウルスラの正体
ウルスラは魔女の宅急便に登場する絵描きのお姉さん。
画家志望で、山小屋にこもってカラスに話しかけながらひたすら絵を描く女の子。
思春期のキキの良き相談相手となったウルスラって、一体何者なのか気になりますよね。
仕事で預かったネコのぬいぐるみを落としてしまった事で偶然知り合うこととなったウルスラではありますが、彼女との出会いがキキの成長を大きくアシストします。
ここではまず、ウルスラ姉さんの人物像や正体について考察を含めながら解説していきます。
ウルスラはキキの未来の姿
ウルスラは山小屋で絵を描いている女の子。
髪の毛を後ろでキュッと結び、薄着で体のラインを隠さず、キキよりも年上。
カラス相手に絵を描いていたり、一人で小屋に籠っていたり。
カラスを手懐けていることから、実はウルスラも魔女なのでは?と感じる方もいるようです。
しかし、魔女であるキキが空を飛ぶ様子にスゴーイといった表情を見せることから、自身は空を飛ぶことができない、つまり魔女ではないと言えるでしょう。
そう言えばこのウルスラさん、映画内では名前が登場していません。
『ウルスラ』という名前であることは確かなのに、なぜか名前を呼ばれないし名乗らないキャラクター。
キキの成長に重要な役割を果たした彼女ですが、なぜ映画内では名前が呼ばれないのでしょうか。
実は原作でも、彼女は『絵描きさん』として登場するだけで特に名前はありません。
だから映画内でも『ウルスラ』という名前は使わなかった・・・?
映画内で名前が明かされない本当の理由は不明ですが、ウルスラは絵を描くことが大好きで、絵を描くことでスランプに陥り、キキをモデルとして絵を描きあげたことで自身のスランプを脱出するキャラクター。
『絵描きの女の子』というイメージ、そしてウルスラは数年後のキキであるという重要な意味合いから、あえて名前を使わなかったのかもしれません。
そう、ウルスラは未来のキキと言えるのです。
もちろん、ウルスラ=キキというのは『例え』であって、キキが数年後にウルスラという人間に変化するわけではありません。
思春期を迎えて自分がわからなくなってしまっていた魔女のキキは、人生の少しだけ先輩であるウルスラの体験談を聞き、揺れ動く内面を支えられたからこそ成長できたのです。
ウルスラはキキと同じようにスランプを経験して絵が描けなくなってしまったり、自身の才能ついて悩んだり、それでも絵で生きていくために何度でも難局を乗り越えようとしている女の子。
彼女はキキにとって人生の先輩であり、良き理解者です。
一方、ウルスラから見たキキは過去の自分と言えるかもしれません。
スランプに陥り悩むキキを見ると、かつての自分の姿を思い出すのではないでしょうか。
ちょっと大人になったとしても、スランプはあるし悩みもある。
だから試行錯誤して、とにかく絵を描きまくっているのがウルスラという女の子。
キキだってウルスラだって、失敗したり落ち込んだりしながら少しずつ自分自身を見つめなおして成長していくのです。
つまり絵描きのウルスラは近い将来のキキの姿であり、そういう意味では赤ちゃんを迎える日が近いパン屋のオソノさんも、孫に拒否されるニシンのパイのおばあちゃんも、みんな未来のキキであると言えるでしょう。
人生では上手くいく事も上手くいかない事も、その時々で色々あるものなのです。
ウルスラは宮崎駿監督自身?
『魔女の宅急便』のウルスラは実は宮崎駿監督自身であるという話があります。
絵を描くのが大好きで、寝る間も惜しんで描いていたのにある日描けなくなった。
自分の絵じゃなくて、誰かのマネだと気づいた。
こんなウルスラのセリフは、宮崎監督自身の体験が込められているのだとか。
過去に何度かスランプを体験したという宮崎監督の想いが、そのままウルスラのセリフとなっているのでしょうか。
もともと絵の才能があったという宮崎監督ですが、やはりウルスラのように『誰かの絵に似ている』とか『描けない』とかのスランプ経験をしたのかもしれません。
だからこそ、ウルスラが語るスランプに陥った理由やその脱出方法といった内容はすごくリアルですよね。
ちなみに、ウルスラが最終的にキキを見て描き上げたペガサスの絵にはモデルがあり、それは宮崎駿監督の義父も関係しているようです。
どのような関係かと言うと、宮崎監督の義理のお父さん(妻のお父さん)が版画家の大田耕士さんであり、ウルスラの絵のモデルとなった八戸市立湊中学校養護学級の共同木版画作品『星空をペガサスと牛が飛んでいく』を指導した教員が、大田耕士さんを父のように尊敬していたという坂本小九郎さんなのだとか。
印象的な『星空をペガサスと牛が飛んでいく』は宮崎監督が心惹かれた作品、そして大田耕士さん繋がりということもあったのでしょう、油絵風のタッチとなり『魔女の宅急便』に登場することとなりました。
魔女の宅急便のウルスラの年齢と名言
『魔女の宅急便』の物語の中で、無くてはならない存在が絵描きの女の子『ウルスラ』です。
彼女がいなかったら、きっとキキは苦しい心の内を年の近い誰かに相談することもできず、ずっと悩み続けていたのではないでしょうか。
スランプに陥った魔女のキキにとって、なんでも話せちゃうお姉さん的存在のウルスラ。
ここでは元気で豪快なイメージの彼女の、年齢設定や名言について紹介していきます。
絵描きのウルスラは18歳
画学生のウルスラは、13歳のキキよりちょっと年上の18歳。
大人に向けての第1歩を踏み出したばかりの年頃です。
スランプ中のキキを励ましてくれるウルスラですが、絵と向き合う彼女には彼女なりの悩みがあるのですよね。
実はこのウルスラの年齢設定は、はじめ27歳とされていたようです。
しかしキキと同年齢ぐらいがいいのでは?という意見もあり、結局は間をとって18歳ということになったのだとか。
では初期の設定のままウルスラが27歳だとしたら・・・
キキは自分の悩みとか、自分がわからなくなってしまった気持ちなどを打ち明けて共感できるような答えをもらえていたでしょうか。
18歳のウルスラならキキと同じ13歳だったのは5年前。
27歳なら15年前。
15年前の当時の自分のモヤモヤした気持ちなんて・・・おそらく、うろ覚えです(笑)
『5年前』が、私もそんな時があったなあと鮮明に思い出せる程よいラインかもしれませんね。
ウルスラの名言
ウルスラは、絵を描くことにすごく情熱を持っているキャラクターですよね。
絵を描くことが大好きなんだという気持ちが伝わってきます。
それでも、好き、上手、だけでは仕事として成り立たない世の中。
だからこそウルスラは時々スランプに陥るワケです。
そんな彼女は映画内で名言を残していました。
それは・・・
そういう時はジタバタするしかないよ
描いて描いて描きまくる
絵が描けなくなって苦しむウルスラは、『とにかく絵を描く』ことを対処法としているようです。
それでもダメな時は、一度絵を描くのをやめて、そしたら自然にまた描きたくなる。
飛べなくなってどうしたらわからずに落ち込んでいるキキの心には、ガツンと響いたのではないでしょうか。
まとめ
『魔女の宅急便』に登場する絵描きの女の子の名前は『ウルスラ』です。
映画内では彼女の名前が登場することはありませんが、『ウルスラ』という名前が付けられています。
宮崎監督自身とも言われるウルスラは、スランプになってしまった時の話をキキに聞かせるなど人生の先輩であり良き相談相手。
彼女の口から語られるスランプの話は、宮崎監督自身の経験を元にしていると言われています。
ウルスラは13歳のキキからしたら5歳も年上の18歳のお姉さんですが、キキと同じようにスランプになったり悩んだりもがいたり、年齢を重ねたからといって悩みが無いワケではないのです。
彼女は言わば、キキの未来の姿。
持って生まれた才能や好きなことにも悩み、乗り越え、自立していかなければならないのです。
ウルスラがいなかったらキキは飛ぶことをやめ、飛ばないで生きる道を選択したかもしれません。
でもキキがまた飛べるようになったのは、絵が描けなくなっても『描いて描いて描きまくる』ということを実践するウルスラの存在があったからと言えそうです。
ウルスラがいなかったら、キキは宙吊りのトンボを助けられなかったかもしれませんからね!
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