『ハウルの動く城』のソフィーは、恐ろしい荒れ地の魔女によって、おばあちゃんの姿になってしまうという呪いをかけられたヒロインです。
しかし気になるのは、呪いによっておばあちゃんになったのに時々変化するその容姿。
ソフィーの見た目年齢は、18歳~90歳の間を行ったり来たりしています。
なぜ、ソフィーは年をとったり若くなったりするのでしょうか?
そもそも、荒れ地の魔女の呪いはどのようなものなのでしょうか?
この記事では、ソフィーが若くなる理由、そして荒れ地の魔女の呪いは何なのかについて、考察を含めた解説をしています。
目次
【ハウルの動く城】ソフィーが若くなるのはなぜ?
ソフィーは呪いをかけられた直後は90歳のシワシワのおばあちゃんですが、時には70歳ぐらいのおばあちゃんになったり18歳の姿に戻ったり、容姿が変化します。
このように、急におばあちゃんになったり若返ったりするなんて不思議だと感じてしまいますが、どうやらソフィーの見た目年齢は、彼女の気持ち次第で変化するようです。
つまり、
- 自信の無い時にはおばあちゃんになる
- 気持ちが解放されている時には若返る
これらを詳しく解説していきますね。
ソフィーの自信の無さが外見に現れる
ソフィーは母親や妹とは違い、かなり地味目の女性です。
明るい色の洋服を着るわけでもなく、派手な飾りの付いた帽子を被るわけでもなく、男性からチヤホヤされるわけでもありません。
彼女の父親が残した帽子屋で、ひたすら帽子を作っては売るだけの毎日。
長女だからという理由で帽子屋に縛られている姉を、妹のレティ―も心配しています。
- 自分は長女だから・・・
- 明るい色の洋服は似合わないから・・・
- 派手な飾りの帽子は似合わないから・・・
ソフィーはとにかく、自己肯定感の低い女性なのです。
賑やかなお祭りが行われている街中を通る事さえ避け、人通りの少ない裏道を歩き、同年代の女の子たちのような美しくきらきらと輝くような日々は自分とは無縁だと思い込んでいます。
そんな自信の無さが、荒れ地の魔女に呪いをかけられた後の彼女の外見にも現れています。
シワシワのおばあちゃんの姿になってしまったのは、若さを奪われたからではなく、ソフィー自身が自分の事を常々『おばあちゃんみたい』だと思っていたから。
父の残した帽子屋でひたすら帽子を作り、ただ老いていくだけ。
本当は恋をしたり楽しい事をしたり、同年代の子が夢中になっている事をやってみたいと思っているはずなのに、です。
でも、長女だから、美しくないから、そういう思いが心にブレーキをかけ、本当の自分の気持には蓋をしている状態・・・
サリマンに『ハウルに恋をしているのね』と言われた時、ハウルに『ソフィーはキレイだよ』と言われた時、一瞬でおばあちゃんの姿に戻ってしまうのは、自分の願望や本当の気持ちを他人に見透かされてしまったと感じたからでしょう。
ソフィーばあちゃんの姿は、彼女の心を守るための鎧でもあるようです。
ソフィーが若返るタイミング
ソフィーは普段は荒れ地の魔女の呪いによっておばあちゃんの姿になっていますが、時折、呪いをかけられる前の元の姿に戻る事があります。
ソフィーが元の若い姿に戻るのは、
- 容姿への不安が無い時
- ハウルを好きだという気持ちが強くなった時
つまり、心の奥底に閉じ込めてある感情が解放されている時にソフィーの見た目は若くなると考えられます。
容姿への不安が無い時に若返る
容姿への不安が無い時とは、例えばカーテンに仕切られて眠りについている時。
誰にも邪魔されない空間でもあるので、見た目を気にせずにいられるのでしょう。
ちなみにハウルの城に辿り着いた直後、カルシファーの前で椅子に座ったまま眠ってしまっていた時は、彼女はおばあちゃんの姿のままでした。
なぜなら、これからどうなるのか、不安な気持ちがあったから。
- 荒れ地の魔女の呪いでおばあちゃんの姿にされてしまった
- 美しい女性の心臓を食べるというウワサのあるハウルの元へ来てしまった
呪いをキッカケに、ソフィーの日常は一変したのです。
容姿を変えられた直後はそれなりに緊張状態であったため、眠りについても元の若い姿には戻らなかったと考えられます。
ハウルを好きな気持ちが大きい時に若返る
サリマンの前でハウルが国王の元へ来たがらない理由や、この国のおかしい点を堂々と意見した時、ソフィーの見た目はグッと若返り、元の姿に戻っていきます。
さらには、ハウルの秘密の花畑に連れてきてもらった時、ハウルが鳥のような異形の姿となって戦争の中に飛び込んでいく時、やはりソフィーは若い姿になっています。
これらに共通するのは、ハウルを心配する気持ちが強い事、ハウルが大好きだという気持ちが強い事。
他の事を考えられないほどひたすらハウルの事を想う時、ソフィーは若い姿に戻っています。
ハウルの事が最優先のため、自分の見た目に対する気持ちは影を潜めているというワケですよね。
だからこそ、ハウルの事ばかり考えて自分の容姿の事を忘れていた!と気づいてしまった時には、再びおばあちゃんの姿へと戻ってしまうのです。
【ハウルの動く城】荒れ地の魔女の呪いとは
『ハウルの動く城』では、荒れ地の魔女によって呪いをかけられたソフィーばあちゃんが大活躍します。
本当は18歳のソフィー。
ここでは、魔女がかけた呪いについて
- 呪いの内容
- 呪いが解けたかどうか
これら2つを解説していきます。
気持ちが外見に反映され呪いの内容を言えない
ソフィーが荒れ地の魔女にかけられた呪いは、
- ソフィーの内面が外見に反映される
- 呪いの詳細を誰にも言えない
荒れ地の魔女がソフィーに呪いをかけたのは、ハウルと仲良さそうにしていた事に嫉妬したから。
そもそも荒れ地の魔女は、魔法で若さを保っているだけで実際にはかなりのおばあちゃん。
本来の姿に戻ってしまった荒れ地の魔女は、90歳の姿のソフィーよりもさらに年上に見えますよね。
そんな荒れ地の魔女は、いくつになっても若さや美しさにこだわり、若い男性(ハウル)に夢中になっています。
・・・まあ、ソフィーの若さが気に入らなかったのでしょう。
しかも、おそらく荒れ地の魔女は若いソフィーの心、内面が、実はシワシワのおばあちゃんみたいである事に気づいています。
だからこそ、ソフィーの内面が外見に反映されてしまう呪いをかけたと考えられます。
ハウルにちょっかい出す女の本性を見せてやる、そういう気持ちだったのかもしれません。
ハウルが興味を持たないように若さや美しさを表に出せないような呪いをかけ、それが荒れ地の魔女の呪いだという事を誰にも伝えさせない・・・
荒れ地の魔女はかなり嫉妬深く、手段を選ばない女性のようです。
ソフィーの呪いは解けた?
ところで、見た目がちょいちょい変化するソフィーですが、荒れ地の魔女の呪いが解けたのでしょうか?
映画内では、荒れ地の魔女の呪いが解けたとハッキリわかるような描写はありません。
ただ、呪いが解けていない事が証明されるようなシーンも登場しません。
しかしサリマンによって荒れ地の魔女の魔力が失われる事から、ソフィーにかけられていた呪いは『解けた』と考えられます。
一方で、かなり終盤までおばあちゃんの姿に変化している事から、呪いは『解けていない』とも考えられます。
これら2つの考え方について、考察を含めた説明をしていきますね。
荒れ地の魔女は魔力を失ったので呪いが解けた可能性
サリマンは荒れ地の魔女から魔力を奪い取りました。
つまり、恐ろしい魔女からただのおばあちゃんになったと言えます。
ソフィーへの呪いは荒れ地の魔女の魔力が作用していると考えれば、魔力が消滅したのならば同時に呪いも解けていると考えられます。
しかし、荒れ地の魔女の魔力が消滅したから呪いが無くなったと考えるには、どうしても矛盾とも思える事が起きていますよね。
・・・それは、荒れ地の魔女の魔力が奪われた後でもソフィーはおばあちゃんの姿をしている事。
ただしこの件に関しては、ソフィーの気持ち、感情が呪いをややこしくしていると考えれば納得できます。
ソフィーは元々自分の姿や人生に対するコンプレックスがあるため、若い姿よりもおばあちゃんの姿の方が、気持ち的には楽なのです。
荒れ地の魔女の魔力が失われて呪いが解けていたとしても、ソフィー自身が無意識のうちに、おばあちゃんの姿から元の若い姿に戻る事を拒んでいると考えられます。
長女だから、美しくないから、似合わないから・・・
まあ、ソフィーはいわゆる思い込みの強いタイプなのでしょうね。
おばあちゃんの姿になる事で、ソフィーは容姿の美しさや地味な自分という呪縛から解き放たれ、誰の目を気にするでもなく意見を言い、好きなように振る舞い、自由に生きられるようになっていたのです。
口では『呪いを解きなさいよ』なんて言っているソフィーですが、おばあちゃんの姿であるが故の強気発言だったのかもしれません。
終盤まで外見が変化するので呪いは解けていない可能性
荒れ地の魔女が魔力を失うのは、物語の中盤。
しかし、物語の後半までソフィーの外見は若い姿からおばあちゃんの姿にまで変化しています。
外見の変化してしまう状態が荒れ地の魔女の呪いによるものなのであれば、呪いは残っているとも考えられます。
『焼け焦げは消えても呪いは消えない』とハウルが言うように、呪いと言うものは『解く』事をしない限り残るものなのかもしれません。
荒れ地の魔女はソフィーへの呪いを解かないまま魔力を失ってしまいましたから、呪いだけが残されてしまった状態とも言えますね。
ハッピーエンドを迎えたラストシーンでもソフィーの髪の色が戻らないのは、荒れ地の魔女の呪いがソフィーの中に残っているからだとも考えられるのです。
まとめ
『ハウルの動く城』のヒロイン・ソフィーは、嫉妬から荒れ地の魔女に呪いをかけられ、見た目を90歳のおばあちゃんにされてしまった女性です。
荒れ地の魔女の呪いは、
- 内面が外見に現れてしまう
- 呪いの詳細を他人に言えない
また、時折ソフィーの見た目年齢が変化するのは、ソフィーの気持ちの変化によるものだと考えられます。
- 自信の無い時にはおばあちゃんになる
- 見た目を気にしない時には若い姿に戻る
魔女の元々の呪いに加えて、ソフィーが抱えていたコンプレックスが、呪いをさらにややこしいものにしてしまっているのでしょう。
いわゆるマイナス方向に働く自己暗示のようなものですよね。
結局、荒れ地の魔女の呪いは解けたのか・・・
これについては物語中での解説や描写はありません。
『呪いは解けた』とも『呪いは解けていない』とも言えます。
ただ、呪いが解けても解けていなくても、最終的にソフィーは自分らしさを取り戻しました。
コンプレックスや自己肯定感の低さからは解放されています。
つまり、呪いが残っていようと消えていようと、もうソフィーには関係ないのです。
ハウル、マルクル、ヒン、荒れ地の魔女・・・
新しい『家族』に囲まれて、飾らない姿のまま、いつまでも幸せに暮らしてほしいですね。
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