『風の谷のナウシカ』の最後の場面、一度死んでしまったナウシカが王蟲の力で生き返るという感動的なラストシーンに心を打たれた方も多いのではないでしょうか。
人々が虫や腐海を恐れ、人間同士でも争いを繰り返す世界。
ナウシカが青い衣装を身に付けて金色の野に降り立ったという、大地と人とをつなぐ伝説的存在が強調されたシーンでもありました。
それにしてもなぜ、ナウシカは生き返る事ができたのでしょうか。
ナウシカがどうして生き返ったのか、そのラストシーンの理由についても解説します。
目次
ナウシカが生き返ったのはなぜ?
ナウシカ「よかった。王蟲ありがとう。ありがとう。」#kinro #風の谷のナウシカ #スタジオジブリ #宮崎駿 #ナウシカ #テト #らんらんらららん pic.twitter.com/rTkGbt31Jd
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映画版『風の谷のナウシカ』では、ラストシーンで死んでしまったナウシカが生き返ります。
よくよく考えると不思議なシーン。
どうして死んでしまったナウシカは生き返ったの?と疑問に思ってしまう場面でもあります。
ナウシカは王蟲に跳ね飛ばされて死んでしまった
ナウシカを生き返らせたのではなくて、そもそも死んでいなかったのでは?
そういう考え方もありますよね。
しかし、怒りのままに突き進む王蟲の群れに、生身の状態で跳ね飛ばされたのです。
とんでもないスピードで走ってきた巨大な重機に跳ね飛ばされたようなものです。
ジイたちがいくら姫様の丈夫さは折り紙つきと言っても、そういう意味ではないですよね。
あんなものに体当たりされれば、普通なら死んでしまいます。
つまり、ナウシカも人間ですから、王蟲に跳ね飛ばされた時に死んでしまったと言えるのです。
ナウシカが生き返ったのは王蟲の不思議な能力
普段は頑丈で巨大な体に隠れて見えませんが、王蟲には触手(触角)があります。
前方の足先部分から長く伸びる複数本の金色の触手は、物を掴んだりする以外にも相手を探る時に使われたりするもの。
腐海の湖の水中から現れた王蟲が、金色の触手でナウシカに触れて不思議な光景を見せるというシーンもありましたよね。
彼らの持っている触手には、見知らぬ相手が味方かどうかを探ったり、体に対しては短すぎる足では掴む事のできないような物を持ったりする以外にも、テレパシーのような力もありそう・・・
さらに、映画版ではラストシーンにかけて、王蟲の触手に治癒の効果も見て取れます。
ナウシカの足首や肩の傷を治したのは、明らかに王蟲の能力。
金色の触手でナウシカの傷に触れると、あっという間に傷が塞がって治ってしまいました。
王蟲の群れに跳ね飛ばされたナウシカは死んでしまい、そのまま落下したと思われます。
しかし、ナウシカの存在に気がついた王蟲たちの攻撃色が消え、金色の触手でナウシカを空高く持ち上げると・・・
触手で触れた部分の傷が完治しただけでなく、死んでしまったと思われたナウシカも息を吹き返します。
治癒魔法と蘇生魔法が合体したような不思議な能力が、王蟲の触手、もしくは王蟲自体にあったという事になります。
ナウシカのラストシーンの理由
大ババ「その者、青き衣をまといて金色の野に降り立つべし。失われし大地との絆を結び、ついに人々を青き清浄の地に導かん。」#kinro #風の谷のナウシカ #大ババ様 #ナウシカ pic.twitter.com/w4xKkoN06s
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『風の谷のナウシカ』の映画版のラストシーンでは、一度死んでしまったナウシカが生き返り、伝説と同じく金色の野を歩く姿は人々を感動させます。
元々漫画版にも登場する金色の野に降り立つ場面ですが、一度死んだナウシカが蘇るというシーンは映画版だけのもの。
このラストシーン、ナウシカが一度死んで蘇ったのには理由があるようです。
ラストシーン候補は3種類あった
『風の谷のナウシカ』のナウシカが蘇るラストシーンは非常に感動的なものですが、元々予定されていたのは別のラストだった、という衝撃的な話があるのです。
元々予定されていたラストシーンの他に、別の案が2つ。
合計3つの案のうちの1つが、映画版のラストシーンに選ばれました。
ジブリの教科書1『風の谷のナウシカ』によると、宮崎駿監督が元々思い描いていたのは、王蟲の前に降り立ったナウシカの目前で王蟲たちの暴走が止まるというもの。
ナウシカも死なず、より漫画版ナウシカに近いものになるはずだったようです。
それが1つ目のラストシーン案。
しかし、暴走が止まるというラストシーンはあり得ない。
つまり、あんなところに降り立ったら跳ね飛ばされて死んでしまうのが当然の成り行きだろうという事で、ナウシカが身を挺して王蟲の群れの中に降り立ち死んでしまうというのが2つ目の案。
そして実際の映画版に描かれた3つ目の案が、王蟲に跳ね飛ばされて死んでしまったナウシカが生き返るというものでした。
つまり、
- ナウシカの存在が王蟲の暴走を止める
- ナウシカが王蟲に跳ね飛ばされて死ぬ
- ナウシカは王蟲に跳ね飛ばされて死んでしまうが、生き返る
この3つの案の3番目が採用されたのです。
ナウシカが生き返ったのは娯楽映画だから
大ババ「身をもって王蟲(オーム)の怒りを鎮めてくだされたのじゃ。あの子は谷を守ったのじゃ。」#金ロー #風の谷のナウシカ #大ババ様 #ナウシカ #王蟲 #テト pic.twitter.com/jpTWBkY12D
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なぜ宮崎駿監督が当初描きたかったラストシーンにならなかったのか気になりますよね。
実は、漫画版でもあの暴走シーンに近いシーンが存在しますが、暴走状態の王蟲は『ナウシカの不思議な力』で止まります。
ナウシカの叫びが王蟲の心に届いたというシーンなのです。
漫画版ナウシカには王蟲と会話できる能力(実際には念話のようなもの)がありますし、王蟲もまたナウシカを信頼しています。
だからこそ1つ目の案、王蟲の暴走がナウシカの前で止まる、だったのでしょう。
しかし映画版のストーリーで言えば、ナウシカはラストシーンで身を挺してからようやく王蟲に受け入れられたようにも感じられますから、突然王蟲の暴走が止まるシーンだと違和感のあるものになってしまう・・・
物理的に言えば、暴走する王蟲の前に降り立てば跳ね飛ばされて死んでしまうはず。
しかし死んでしまってオシマイというのもちょっと・・・
そして浮上したのが『娯楽映画』としての3つ目の案。
死んでしまったナウシカが、奇跡の力で蘇るというものでした。
いわゆる観客ウケがよさそうなもの、という事ですね。
そんな成り行きがあって『奇跡が起きた!』なら何でもアリという、宮崎監督敵にはあまり納得のいかないラストシーンになったのです。
まとめ
映画『風の谷のナウシカ』は、公開から約36年たった今でも人気の衰えない作品です。
映画公開当時は、公開されてからしばらく経ってからも立ち見客がいるくらい人気があったのだとか。
この立ち見客、というのは、当時の映画館が指定席性ではなかったためですね。
つまり、それだけ人気作品で混みあっていたという事です。
それほどまでに人々を呼び、感動させた『風の谷のナウシカ』のラストシーンは、死んでしまったナウシカが王蟲の治癒の能力によって蘇ったというもの。
しかし、このラストシーンには『娯楽映画』としての側面も含まれていました。
宮崎監督推しの、ナウシカの前で王蟲の暴走が止まるシーンではなく、単に死んでしまうのでもなく、死んでしまったヒロインが奇跡の力で蘇る・・・
最も感動を呼ぶシーンとして採用されたのが、ナウシカが生き返るというものだったのです。
今でも心に残るあのシーンが、実は宮崎監督が描きたかったものではなかったにせよ、多くの人を感動させた作品である事には変わりありません。
もし、映画版とは違うナウシカにも興味があるのであれば、漫画版『風の谷のナウシカ』も読んでみる事をオススメします。
こちらは宮崎駿監督が書いている漫画ですから、難解な部分もありますが、描きたかった事がそのまま詰まっています。
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