『スパイ教室』の、灯の少女たちが最初に挑んだ不可能任務・奈落人形の奪還作戦では、実は死亡したはずの炬光のギードが生きており、しかも焰を裏切っていたという衝撃の展開が待ち受けていました。
焰のボスである紅炉のフェロニカを始め、チームのメンバーを家族のように愛していたであろうギードはなぜ裏切りという道を選んだのでしょうか。
この記事では、ギードが焰を裏切った理由、そして最後にクラウスを庇ったのはどうしてだったのかについて考察を含めた解説をしていきます。
スパイ教室のギードの裏切りはなぜ?
スパイ教室の炬光(きょこう)のギードは、ディン共和国の頂点に立つスパイチーム・焰(ほむら)のメンバーであり、世界中のスパイの中でもトップを争うほど戦闘能力に長けたいわゆる『戦闘屋』。
世界最高のスパイを自称する灯(ともしび)のボス・クラウスを息子のように可愛がり、戦闘技術を教え込んだ人物でもあります。
そんなギードは、なぜ焰を裏切ってしまったのでしょうか。
そこにはどのような理由があったのでしょうか。
裏切り以外の道を選ぶことはできなかったのでしょうか・・・
ボスとの意見の相違から裏切りを選んだ
ギードが焰を裏切ったのは、ボス・フェロニカとの意見の食い違いがあったことが理由として挙げられます。
紅炉(こうろ)のフェロニカと言えば、焰のボスとして君臨し世界最高と謳われる女性スパイ。
彼女の鮮やかな手腕はもはや芸術的であり、ディン共和国の敵国・ガルガド帝国の中にも崇拝者がいるほどなのだとか。
ギードもディン共和国が誇る偉大なスパイ・紅炉のフェロニカに忠誠を誓っているものと思われましたが・・・
どこで意見が分かれてしまったのでしょうか。
ギードが裏切りの道を選ぶことになったのは、ガルガド帝国のスパイチームである『蛇(へび)』の白蜘蛛が各国のスパイをスカウトしながらメンバー集めをしていたころ。
元々『蛇』は水面下で進められていた『暁闇計画(ノスタルジア・プロジェクト)』を阻止するために立ち上げられた零細チームです。
暁闇計画を成就させようとしたのが紅炉のフェロニカ、阻止しようと考えたのが蛇。
つまり、ギードは焰に所属しつつもボスが推進する暁闇計画に反対だったというワケです。
実際には焰の中でも暁闇計画について知っていたのはフェロニカ以外にはゲルデとギードのみ。
他のメンバー(ルーカス、ヴィレ、ハイジ、クラウス)にはその計画を知らされることはありませんでした。
焰のナンバー2であるギードと焰の元ボスのゲルデにだけ知らされたのは、フェロニカも極罪と言われる暁闇計画に思うところがあってのことだったのではないでしょうか。
慎重に進めるべき、もしくは計画を進めるにあたってしっかり話し合いたかったためだったのかもしれません。
最終的にフェロニカとギードの意見は同意には至らず、ギードは焰ではなく蛇に自身の力を貸すことになったのです。
家族のように愛していたはずの焰というチーム。
それを裏切ってまで他国のチームに寝返ったギード。
ギードにとっては、それほどまでに賛成できない計画だったということでしょう。
自身の裏切りによって暁闇計画を頓挫させようとし、何も知らない焰のメンバーは巻き込まれる形で犠牲になったのです。
焰のメンバーを殺害し壊滅させた理由は、暁闇計画を継ぐ者を生まないため、紅炉の意志を継がせないため。
世界から見てギードの行為が正しかったのか、それともフェロニカに従うべきだったのか・・・
ギードを父親のように慕い、フェロニカを母親のように慕い、壊滅した焰の生き残りであるクラウスは、嫌でも暁闇計画に巻き込まれていくことになりそうです。
裏切りは紅炉の想定内?
ギードが大切な『家族』を裏切ってまで阻止しようとした暁闇計画ですが、紅炉のフェロニカはギードの裏切りを予想していたのかもしれません。
なぜならフェロニカは、暁闇計画を成就させるための新組織・『神樹の墓守(ケルビム)』を立ち上げていたから。
先を見通す能力に優れていたフェロニカです。
神樹の墓守は万が一の場合の保険などではなく、最初から焰のメンバーでは暁闇計画を遂行できないと考えていたのではないでしょうか。
ギードが蛇と連絡を取り合っていることに気づいていたのか、それとも最初からギードが裏切ることを想定していたのか。
ギードに暁闇計画を伝える直前、ギードひとりで『蛇』のもとに向かわせたフェロニカのその行為にも実は裏があったかもしれないと考えると・・・ちょっとゾクゾクしますよね。
ギードが最後にクラウスをかばった理由
炬光のギードは最後、『蛇』の白蜘蛛が放った銃弾に胸を撃たれて死亡しました。
撃たれたと言っても白蜘蛛はギードを狙ったわけではなく、その銃弾はクラウスに向けていたもの。
灯の少女たちと一戦を交えたギードの救命に気を取られていたクラウスは、白蜘蛛の弾丸への反応が遅れたのです。
クラウスへ向けられた狙撃に対し、己の体で庇ったのがギード。
白蜘蛛の弾丸はクラウスではなく、ギードの胸を貫きました。
焰の壊滅の原因をつくった張本人であるギードが、なぜクラウスを助けようとしたのか。
ここではギードがクラウスをかばった理由について考察してみます。
クラウスは弟子であり息子のような存在
クラウスは焔に加入する前、孤児としてたったひとりで厳しい世界を生きていました。
戦火に見舞われたディン共和国首都近郊のとある街、そこがクラウスの故郷です。
帝国軍人をも寄せ付けない圧倒的な戦闘能力は住民にも恐怖を与え、しかし子供たちには食べ物を分け与えるという一面もあることから崇拝の対象ともなっており、荒廃したその街でクラウスは『塵(ごみ)の王』の名で呼ばれていました。
塵の王と呼ばれた10歳程度の少年の才能を見出し、将来性を感じたのがギード。
ギードは塵の王の少年を焔の拠点である陽炎パレスに連れ帰り、スパイとしての教育を施したのです。
つまり、クラウスにとってギードは師匠であり育ての親。
ギードにとってクラウスは弟子であり息子同然の存在。
血の繋がりは無いものの、ギードはクラウスが可愛くて仕方がなかったのではないでしょうか。
裏切り後に再会し、口ではクラウスの息の根を止めるようなことを言っていても、心では息子を死なせたくないと思ってしまっていたのかもしれません。
いつかは紅炉のフェロニカの意志を継ぎ、暁闇計画を進める存在になるかもしれないクラウス。
ここで倒さなければならないと理解してはいるものの、目の前にいるクラウスが弾丸に襲われるのを見過ごせなかったギード。
敵対しつつも、『弟子』であり『息子』という愛情に勝てるものは無かったということでしょう。
暁闇計画なんてものが無ければずっと家族でいられたはず・・・
そんな風にギードの心は揺れていたのかもしれませんね。
クラウスに未来を託した?
ギードが焰を裏切った理由が暁闇計画にあり、焰のメンバーを残らず抹殺しようと考えていたのであれば彼がクラウスを庇う理由はどこにもありません。
なんなら、つい数分前までギード自身がその手でクラウスを消そうとしていたはずです。
・・・それなのにクラウスを狙撃から庇ってしまった。
自分以外の手でクラウスを葬らせたくなかったのでしょうか、それともクラウス抹殺の考えを改めたのでしょうか。
あくまでも個人的な考えではありますが、ギードはクラウス率いる灯の少女たちとの戦いを経て、クラウスに未来を託したくなったのではないでしょうか。
スパイ養成学校では優秀な存在ではなかった落ちこぼれの少女たち。
彼女らの信頼を得て、少女たちだけではなく自身も成長を続けるクラウス。
焰という家族を失ったものの、守るべき新たな家族を手に入れた愛弟子。
実際のところギード自身、焰を裏切り仲間を抹殺する行為が100%正しい道とは思っていなかったのかもしれません。
焰の仲間である炮烙のゲルデを殺害するとき、ギードは涙を流したとか。
ボスとの決裂についても周囲には語らなかったという彼にとって、イヤだけど選ぶしかなかった道、背負うと決めた道だったのでしょう。
塵の王・クラウスを見つけたとき、恐ろしいほどの才能と将来性を見たギードです。
暁闇計画の推進や阻止以外の方法を編み出すかもしれない愛弟子・クラウスに、世界の命運を託したくなったのかもしれません。
まとめ
『スパイ教室』に登場するキャラクター・炬光のギードの裏切りは、焰のボス・紅炉のフェロニカとの意見の対立によるものでした。
対立の原因は、暁闇計画と呼ばれる謎のプロジェクト。
極罪なのか、それとも再び大きな戦争を引き起こさないために必要なものなのか。
ギードは暁闇計画に反対する道を選び、フェロニカは遂行する道を選んだ。
故に『焰』は壊滅した。
暁闇計画を阻止するための組織である『蛇』に寝返ったギードではありましたが、結局は『蛇』のメンバーである白蜘蛛の狙撃から自身の体を盾としてクラウスの命を守りました。
クラウスを庇ったのは愛情か、それとも暁闇計画の是非を見極めてほしいと願ったからなのか・・・
阻止するべきだったのか、推し進めるべきだったのかは徐々に明らかになるでしょう。
焰の生き残りであるクラウスが暁闇計画にどのように巻き込まれていくのか、今後の展開が気になりますね!
コメント