最近スーパーなどでよく見かける2月の節分時期のいわし、これは関西のあたりでの風習が関わっているようです。
昔読んだ本か何かに節分のいわし飾りの話が載っていたため『節分にはいわし』という曖昧な知識はありましたが詳しく知っているわけではありません。私は関東圏の出身で、節分には豆をまく以外の風習が特にありませんでした。
そこで気になり調べてみた『節分いわし』、由来や意味をお子さんにもわかりやすいように解説します。
目次
節分にいわしを食べるのはなぜ?
鬼って大きくて強そう、顔も怒っているみたいでとても怖いイメージですよね。
こんなに強そうな鬼でも嫌いなものがあります。
なんだと思います?もっと怖そうなオバケ?鬼みたいに怒ったお母さん?(笑)
鬼を煙とニオイで追い払うためにある
鬼が嫌いなもの、それは何と『くさいニオイ!』
いわしを焼いた時の煙とニオイが苦手なのです。とても怖い顔をした鬼が、魚を焼いた時のニオイが苦手だなんて面白いですね。
節分にはいわしを焼いて食べる事によって、その煙とニオイで鬼払いをするという風習の存在、なるほどそれで節分時期のスーパーにはいわしがたくさん並んでいるのですね!
でも、なんで節分になると鬼がくるの?って思いませんでした?
それは、季節が変わる時には鬼が出ると信じられていたから。
季節が変わる時というのは節分を指します。
今でこそ『節分』と言えば2月の頃を指しますが、本来節分というものは季節の分かれ目の日という意味なので『立春・立夏・立秋・立冬』という季節が変わるタイミングの前日にあたる日、つまり本当は年に4回もあるのです。
では、なぜ2月の節分だけに鬼払いをしているのでしょう?
その昔、旧暦が使われていた頃の『立春』の日というのは新しい年の始まりの日で、その前日の節分の日は『大晦日』にあたります。
つまり、新年にあたる『立春』の前日は、4回ある節分の中で一番重要視されていました。
新しい年に向けいわしの煙とニオイを使って鬼を払い、そして新年を迎える、というワケですね。
節分いわしの意味や由来:鰯の語源から
昔の人々は、病気などの『邪気』は『鬼』によってもたらされると信じていました。
そして、前述の通り『鬼』はニオイのきついものが苦手なのだとか。
ニオイのきついもの、つまりいわしを焼いたときに出る煙とニオイには『邪気』を払う魔除けの効果があるとされていたのだそうです。
ここでちょっとした疑問が。
たしかに焼いたときにニオイは出ますが、それってどの魚でも同じじゃないの?
・・・よっぽどサメの身を焼いたほうがきついニオイがしそうですけど(笑)
これにはいわしの語源が関わっているようです。
いわしを漢字で書くと『魚+弱い』で鰯と書きますが、その由来は水から上がるとすぐに弱ってしまうからであり、『弱し』が『いわし』になったという説があります。
また、いわしは昔、身分の低い人々が食べる物であったことから『卑し』、そこから『いわし』になったという説もあります。
そして昔の人々は、この『弱くて卑しい』いわしを食べる事で体内の『陰の気』を消すことができると考えていたようです。
子供向けにわかりやすく伝えられる言い方
もし子供に「豆まきの日にお魚を食べるのはどうして?」って聞かれたら?
子供にわかりやすく伝えるのって、意外と難しいですよね(笑)
そんな時はこう教えてあげましょう。
鬼は外、福は内ってする日は、昔は1年の最後の日だったんだよ。
1年の最後という事は、次の日からは新しい1年が始まるね。
昔の人は、新しい年になる時には鬼が来るって信じていたんだよ。
鬼が来て新しい1年が始められなかったら大変だから、くさいニオイが大嫌いな鬼を追い払うためにいわしという魚を焼いたんだよ。
いわしを焼くと鬼が大嫌いなくさいニオイとたくさんの煙が出るんだよ。
人間にはいい匂いに感じるかもしれないけどね、鬼には苦手なニオイなんだね。
人間は鬼が嫌いないわしを食べて、自分の体の中にもいるかもしれない鬼を追い出していたんだよ。
こどもは「どうして?なんで?」が得意ですよね(笑)
出来る限りの簡単な言葉で説明してあげられると、想像力をフル活用して理解しようとしてくれますよ。
なぜヒイラギに魚の頭(いわし)を刺すのか
節分の『柊鰯(ヒイラギいわし)』、関西方面にお住まいの方は今も残る風習としてなじみがあるかもしれませんね。
これは名前の通りヒイラギといわしを組み合わせたものであり、詳細を説明すると、葉が付いたヒイラギの小枝に焼いたいわしの頭を刺したものを玄関の外の戸口に飾ります。
実は鬼が嫌うものとして、『くさいニオイ』の他にも『尖ったもの』があり、いわしのニオイとヒイラギの棘が鬼から家を守ってくれるという『魔除け』、『厄除け』の意味があります。
ではなぜヒイラギに魚の頭を刺すようになったのでしょう?
平安時代、大晦日には陰陽師が旧年の厄を払う清める行事を行っており、お正月にはしめ縄に柊の小枝とボラという魚の頭を刺したものが飾られていました。
これがヒイラギいわしにつながるルーツのようですが、あれ?
ボラ?いわしじゃないじゃん!
ボラというのは出世魚ですね。大きくなるにつれて名前を変える魚です。
これは私の個人的な推測なのですが、平安時代のお正月飾りに使われていたボラは縁起物として飾られていただけなのかもしれません。
それがなぜいわしになったのか。
節分に鬼払いをする際の『鬼』は『人間の弱い部分』、例えば健康を脅かす『邪気』を家の主が豆をまいて邪気払いしていたりするワケですから、それを踏まえて考えると、鬼が苦手とするニオイのいわしの身を食べて(体内の陰の気を消して)、さらに残った頭は鬼に向けてのアピールだったのでは?
つまり、この家の人はすでに体からも邪気払い済みですよ!という思いを込めて、同じく鬼除けアイテムのヒイラギに刺して玄関に飾るようになったのかもしれません。
もう一度言いますね、私の推測です(笑)
節分と鰯の関係性について
節分とは本来年4回あるのでしたね。しかし、その中でも最も重要視されたのが新しい年の始まりである『立春』の前日の節分。鬼がやってくると信じられていました。
鬼がやってくる『節分』の日と『いわし』には深い関係があります。
鬼が嫌う煙とニオイを出すいわし。独特の臭みがあり、鬼はいわしのニオイや焼いた時に出る煙が大嫌い。特にいわしの頭は、焼くことでさらにニオイが強まるためヒイラギいわしなどとなり『魔除け』としても使われています。
また、漢字でいわしを『魚+弱い』と書く事から、体の『陰の気』を消すために食べられています。
このように、玄関の外に飾って『魔除け』にしたり、食べて体内の邪気を追い払ったり、節分にいわしは大活躍!
関西方面を中心に節分いわしは西日本に多く残る風習ではありますが、関東でもいつの間にか恵方巻がメジャーになったように、いわしも今後はもっと広まっていくかもしれませんね!
まとめ
特定の地域以外ではまだまだ知られていない節分いわし。
鬼を追い払うものとして、古くから飾られたり食べられたりしていました。
ところで、いわしには非常にたくさんの栄養素が含まれています。
例えば『ドコサヘキサエン酸』や『エイコサペンタエン酸』をはじめとする『脂肪酸』には、血液の流れを良くしたり、血圧を下げる効果があります。
『エイコサペンタエン酸』には中性脂肪を少なくする働きが、『ドコサヘキサエン酸』には脳を活性化し認知機能の改善に効果があると言われています。
鬼を払うだけでなく、栄養的にも積極的に摂取したいですね!
もともと関西方面の風習だという『節分いわし』、関東圏でも時期になればスーパーで見かけるようになりますから、今年は豆まき以外にも栄養満点のいわしを食べて節分を過ごしてみませんか?
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