『コクリコ坂から』では、冒頭部分からご飯を炊き、食事の準備をする主人公の姿が映し出されます。
バタバタした朝ご飯の風景の後は、洗い物や洗濯、ようやく学校の制服に着替えて通学路を歩き始める海。
割烹着姿の主人公は、住み込みでお手伝いさんか何かの仕事をしているようにも見えますよね。
目次
コクリコ坂からの海(メル)が家事をしているのはなぜ?
早起きして、みんなが目覚める前に朝食の準備、学校に行く前に洗い物や洗濯。
朝からバタバタと忙しくしているのは、海だけです。
なぜ海だけが家事をしているのでしょうか。
松崎家は父親が亡くなり母親はアメリカ留学中
主人公の少女『松崎海(まつざきうみ・通称メル)』の父親は、朝鮮戦争時に亡くなっています。
母親の職業は大学教授で、現在はアメリカに留学中。
つまり、離れに暮らす年老いたおばあちゃんに家事全般をさせるワケにもいかず、海が家事を一手に引き受けているという事ですね。
海が回しているのは脱水機です。この脱水機つき洗濯機は1954(昭和29)年ごろに発売されました。洗濯機の側面にゴムのローラーが2本あり、その間に洗濯物を挟み付属のハンドルを回して水を絞る仕組みです。続くー #コクリコ坂から pic.twitter.com/NKo31Sd5t8
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早朝に起きて朝ご飯の準備や後片付け、洗濯、繕い物。
昼間は学校がありますが、夕方以降は早めに帰宅して夕食の準備をしなければなりません。
昼間の学校の時間帯は、米屋の源さんの奥さん『友子さん』が海の代わりにおばあちゃんを見てくれています。
海(メル)は松崎家の長女
海には『空(そら)』という名前の妹と、『陸(りく)』という名前の弟がいます。
つまり、海は3人兄弟の長女です。
留学中の母親の代わりに、妹や弟の面倒まで見なければならない立場のお姉ちゃん。
早起きして家事をして、学校から帰ったらまた家事をして・・・
普通なら疲れちゃいますよね。
カレー用のお肉が無かったくだりでは、弟や妹に『テレビを観ている』という理由で手伝い(買い物)を拒否されますが、それを怒るわけでもない海。
おばあちゃんや妹・弟たちがのんびりと暮らしているのに、海だけが何かを一人で背負っているようにも見える場面です。
60年代、舟木一夫さんは西郷輝彦さん、橋幸夫さんとともに「御三家」と呼ばれたアイドルでした。71歳になる現在も現役で活動されていて、シアターコンサートなどを開催しています。来年は芸能生活55周年を迎えるんですよ!#コクリコ坂から pic.twitter.com/TbUVWoNTKw
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亡くなったお父さんのため、留学中のお母さんのため、自分がしっかりしなければならないという海の責任感の強さを感じさせるシーンでもありました。
海(メル)が他人と暮らしている理由
父親が亡くなり、母親が留学中の海が長女として家事を一手に引き受けているのは理解できるとして、なぜ他人と思われる人たちの食事まで用意しているのでしょうか。
海の暮らすコクリコ荘は下宿屋
実は海が暮らしている家は、下宿屋(げしゅくや)を営んでいます。
下宿屋とは、部屋代と食事代を受け取って他人に部屋や食事を提供している家の事。
父親を亡くした海たちが身を寄せているのは母方の祖母の家、そこは海のひいおじいちゃんやおじいちゃんがかつて病院を営んでいた場所でもあります。
現在では使われなくなった病院が、建物の一部を改築して下宿屋『コクリコ荘』として生まれ変わったのです。
下宿屋を切り盛りしているのは海
コクリコ荘を切り盛りしているのは、海です。
おばあちゃんは、言わば経営者の立場でしょうか。
海は家計簿のような、帳簿のようなものをおばあちゃんにチェックしてもらい、『赤字にならないだけ立派』という言葉をもらっていましたね。
おそらく、それほど高くないはずの下宿代で生活費を賄っているのでしょう。
お手伝いに来てくれている友子さんのアジが安かったという言葉から、普段からなるべく安い食材を購入している様子が伺えます。
続きーお料理上手で、元気で、こんな女の子が隣にいたらとっても素敵です。アジフライも美味しそう…!ちなみに俊の声を担当した岡田准一さんも「海ちゃんは、強くて、芯があるしっかり者。続くー #コクリコ坂から pic.twitter.com/Y3nKhEbeY3
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ただ単純に家事をこなしているというよりも、ほとんど『主婦』ですよね・・・
『みんながいてくれた方が寂しくなくていいわ』
そんな言葉からは、海がどれほど帰ってこない父親を恋しく思っているか、遠く離れている母を求めているかが表れているようにも感じます。
海は心に秘めた寂しさを紛らわすため、家事を懸命にこなしているのかもしれません。
下宿人は北斗・広小路・牧村の3女性
海が他人を含む大所帯の中で暮らしている理由、それは前述の通り『コクリコ荘』という下宿屋を営んでいるから。
つまり、松崎家には他人である下宿人がいるんです。
下宿人は、研修医で醤油をかけすぎる『北斗美樹』、食欲旺盛で背の高い画学生『広小路幸子』、とっておきのウィスキーを持っているOLの『牧村沙織』の3名の女性。
母のお土産のビーフジャーキーに夢中の陸と広小路。松崎家の末っ子長男で中学2年生の陸は、女の園「コクリコ荘」唯一の男の子でみんなから可愛がられています。食欲旺盛のため、同じく大喰らいの広小路と仲良しなんです。#コクリコ坂から pic.twitter.com/89VvYOgh9F
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通いで手伝いに来てくれている『友子』を除いたとしても、おばあちゃん、海、空、陸、北斗、広小路、牧村の総勢7名の大所帯。
下宿屋を切り盛りする海はともかく、空や陸にとっては『お姉ちゃん』がたくさんいる、そういう感覚なのかもしれません。
まとめ
ジブリアニメ『コクリコ坂から』では、主人公の女の子『松崎海(まつざきうみ・通称メル)』が、なぜか家事をこなしているシーンが目に留まります。
しかも、早起きして作った海の朝ご飯を食べにやってくるのは、『北斗さん』や『広小路さん』など明らかな他人も含まれていますよね。
なぜ?という疑問が生まれる場面でもありますが、その答えは、『父が亡くなり母は留学中、海は妹と弟がいるお姉ちゃん、しかも家が下宿屋』だから。
つまり、松崎家長女の海は下宿屋を営んでいる側であり、下宿人たちに食事を提供しなければならないのです。
母が留守のため、通常の家事に加えてこなす下宿人たちの食事の準備。
これが、海だけが家事をしているように見える原因でした。
父親が亡くなり、母がアメリカ留学をしているという寂しい状況の海。
海の『本当の望み』は夢で見たように、母が朝ご飯を作ってくれている中に大好きな父の姿も見える毎日なのに・・・
今となっては叶えようのない夢だというところが、本当に切ないですね。
『コクリコ坂から』の海(メル)ちゃんは幸せになってほしい・・・
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