思い出のマーニーが伝えたいこととは?人間関係から見るメッセージ性についても

『思い出のマーニー』のイメージ画像 思い出のマーニー

スタジオジブリ米林宏昌監督の『思い出のマーニー』は、自分が愛されていない存在だと思っている少女『杏奈』と謎の少女『マーニー』との交流を経て、杏奈が『自分は愛されている』ことを理解していく物語です。

 

12歳という、心のバランスを保つのが難しい年頃の『杏奈』の境遇は、一見すると不幸。

 

しかし、それは不幸に見えているだけであって、本人も周りの人間も『不幸なんだろう』という思い込みが、ひとりの少女を自分の殻の中に閉じ込めてしまっています。

そんな少女『杏奈』の成長物語が伝えたいこと、また、彼女をとりまく人間関係から見えてくるメッセージについて書いていきます。

 

思い出のマーニーが伝えたいこととは

外国文学を基につくられたスタジオジブリの『思い出のマーニー』は、主人公『杏奈』が夏の間の短い期間、喘息療養のために釧路にある親戚の家へ預けられることから始まります。

 

見知らぬ土地、面識のない人々、北海道の自然、不思議な屋敷・・・

 

この『思い出のマーニー』、杏奈が様々な体験をしながら成長していく物語となっていますが、一体何を伝えたかったのでしょう。

ここでは思い出のマーニーが伝えたいこと3つを紹介します。

 

思い出のマーには何を伝えたいのか1:愛されている事を知ってほしい

杏奈は『育ての親』の元で生活する12歳の多感な年頃の少女。

 

本当の両親は幼い頃に他界しており、その後養護施設での生活を経て、現在の両親の元へやってきたようです。

育ての親に『愛されながら』育ってきた杏奈ですが、どうやら自分を養育する事で補助金が出ているらしい事を知り、『本当に愛されている』かどうかがわからなくなってしまった・・・

 

この辺りは多感な年頃の女の子らしい発想だと思います。

お金をもらっているから、自分を育てているのではないか。お金をもらっていなかったら、愛してくれないのではないか。

親は子供に対して無償の愛を注ぐものだと思っている杏奈にとって、『補助金=有償の愛』。

 

杏奈には伝わっていなかったようですが、マーニーの言う通り、『補助金をもらっている事』と『愛されている事』は別なんですよね。血のつながりのない他人を育てていくなんて、生半可な覚悟ではできません。

結局、根室のおじさんおばさんの家にあった育ての母『頼子』が送ってきたという杏奈の幼いころからの写真や、何かあるとすぐに電話をしてくる心配症の頼子の話を聞き、しだいに杏奈は考え方を改める方向へと進んでいきますが、もちろんそこにはマーニーとの交流も深く関わっています。

 


おそらく、杏奈は『誰かに愛されている感覚』を忘れてしまっていたのでしょう。

マーニーとの交流を経て『誰かに愛される』事を思い出し、自分を愛してくれていたであろう幼い頃に亡くなった両親、祖母、そしてようやく育ての母頼子の愛情も理解していきます。

 

『自分が愛されているとは思わない』という少女が自分の生い立ちと向き合い、自分が思っている以上にずっと愛されていた事を知るこの物語は、私たちにも同じように『自分が思っている以上に、自分を愛してくれている人がいる』という事を伝えてくれています。

 

思い出のマーニーは何を伝えたいのか2:自分だけが苦しいのか

本当の親がいない自分と、両親の元でくらしている『普通』の子たち。

親に愛されていない自分と、親の愛情を受けている『普通』の子たち。

親が養子の補助金をもらっている自分と、補助金なんてもらっていない『普通』の子たち・・・

 

杏奈はこの世には見えない魔法の輪があって、内側にいるのは『普通』の子たち、自分だけは『外側』にいる、と考えています。

輪の外側にいる杏奈は、表情もなく『普通』の顔をしてやり過ごす日々。

 

杏奈は『普通』か『普通じゃない』か、という事にものすごくこだわっているんですね。

いわゆるコンプレックスとも言えるでしょう。

 

コンプレックスゆえに『普通』の子たちと関わろうとしません。

 

絵を描くのが好きだったり、友達づくりが苦手だったり・・・私たちから見れば、杏奈はどこにでもいそうな『普通』の子に見えますけどね。

自分の多感な年頃の事を思い返せば納得する方も多いでしょうが、自分のコンプレックスは絶対に人に見せたくない、深入りしてほしくないと杏奈は思っています。

 

しかし、『私はあなたが羨ましい』とまで思っていたマーニーでさえ、杏奈が思うような『幸せな少女』ではありませんでした。

 


屋敷の中での出来事は杏奈が激怒するほどです。不幸だと思っていた杏奈でもそんな思いをしたことがない。

 

この時、外からは見えない苦しみや悩みを抱いているのは少なくとも自分だけではなかった事、自分以外にも苦しんでいる人がいるという事を杏奈は知ったのです。

 

思い出のマーニーは何を伝えたいのか3:前を向いて生きる事

マーニーは杏奈が想像していたような幸せな少女ではなかった。

けれども、不幸そうな顔はしていません。

 

それは、『幸せになろうとしていたから』なんですよね。

 

『自分の事が大嫌い、自分は周りとは違うんだ』と、いつも下を向いていた杏奈とは違い、マーニーは常に前を見ています。

お屋敷の中で何があったとしても、『パパやママ、友達が集まるパーティの時、自分はこの世で一番恵まれた女の子だと思う』というマーニーは悲しくも強い少女なのでしょう。

 

『幸せは自分から掴みにいくもの』と理解していたからこそ、マーニーは常に前を向いていられたのかもしれませんね。

 

『幸せになろうとするなら、前を向いて生きる』

この気持ちを忘れないようにしたいものです。

 

思い出のマーニーの人間関係から見るメッセージ

『思い出のマーニー』には主人公杏奈を取り巻く様々な人物が登場します。

『杏奈』をはじめとして、不思議な少女『マーニー』、育ての親『頼子』、マーニーを知る『久子』、寡黙な『十一』、東京から来た『彩香』、根室のおじさんおばさんと、その近所の『信子』・・・

これらの人間関係から見えてくるメッセージとはどのようなものでしょうか。

 

幸せそうに見える人も幸せとは限らない

育ての母『頼子』に育てられている杏奈は、自分を普通の子ではないと思っています。

普通の子は、親からの愛情をたくさんもらって生活している子。

しかし、杏奈がはじめて『大好きな友達』と認識した『マーニー』は大きなお屋敷に住んでいるにも関わらず、杏奈の思い描くような幸せな生活をしていなかった事を知ります。

 

幸せそうに見えていた人も幸せではない。

 

これは杏奈にとっては衝撃的な事実です。

そして、マーニーの幼馴染で杏奈と同じく絵を描くのが好きな『久子』やボートに乗った寡黙な男性『十一』も、マーニーが抱えていた寂しさを知り、心を痛めていた人物でした。

 

久子が『マーニーは幸せになろうと笑顔で前を見ていた』と言うように、マーニーが幸せそうに見えたのは、『いつも幸せそうな顔をしているマーニーがいたから』と言えるでしょう。

 

自分の殻に閉じこもっているうちは何も解決しない

表情もなく、周りの人とうまくやっていけない杏奈と同じく、寡黙な男性『十一(といち)』は、おそらく根室に療養にやってきた杏奈が一番最初に、ある意味心を開いた相手です。

 


会話せずとも、杏奈を助けてくれたり、スケッチのためにボートに乗せてもらったり。

 

ボートの上から眺める『湿っち屋敷』は、杏奈にはどのように見えているのでしょうね。

勝手にボートに乗り込んでいるわけではないでしょうから、杏奈からお願いした、つまり杏奈が自ら外に向けて踏み出した記念すべき第一歩目のきっかけを与えた重要人物なんです(笑)

 

それと反するように、ズケズケと心に踏み入ってくる『信子』は杏奈の苦手なタイプ。

根は悪くない少女のようですので、キッカケさえ掴めれば仲良くなれそうなものですが、杏奈はとんでもない悪口を言い放って突っぱねてしまいます。自分のコンプレックスに触れられそうになった事で、自分を守るためだったのでしょう。

 

一歩でも踏み出せば、ボートから眺める景色のように違う世界が広がっている、一方自らの殻で身を守っているうちは、また元の場所に引き戻されてしまう・・・

 

自分の殻に閉じこもっているうちは、すばらしい景色を眺めることはできないようです。

 

無償の愛は永久に続いていく

親は無償の愛を子供に注いでいる、だからお金をもらっている育ての親は『親』とは言えない。

そんな頑なだった杏奈の思いも、終盤ではもうどうでもよくなってしまったようですね。

 

意を決してお金をもらっている事を杏奈に告白する育ての親『久子』に対しても、『知ってた、言ってくれたことが嬉しい』という大人びたセリフから、最初の悩みはもうどこかへすっ飛んでしまっているようです。

マーニーとの交流を通じて、事故で亡くなった両親や、両親の代わりにたくさんの愛情を注いでくれていた祖母の気持ちを理解し、育ての母がお金をもらっているかどうかなんてもはや重要ではないんです。

 

亡くなったとは言え、注いでくれた愛情は無償であり永久のもの。

そして亡くなったから愛情が消えてしまうわけではない、さらに今は、他人であるはずの自分を無条件で愛してくれる新しい『母』がいる。

自分を愛してくれる人がいる、という確証を杏奈は得る事ができたのです。

 

今までも自分が考えていた以上の愛情を注がれていた事に、ようやく気付けたんですね。

 

まとめ

ジブリ作品の『思い出のマーニー』は、愛されていないんじゃないか、自分は邪魔者なのではないか、という一種の思い込みに捕らわれた少女が、その呪縛から解き放たれるまでを描いた物語。

大人が観れば、過去のほろ苦い思い出がよみがえり、杏奈と同年代の子が観れば、おそらく共感を得ることができる内容となっています。

 

設定としては若干重いのかな、という気もしますが、『思い出のマーニー』が思い出させてくれる自己肯定の気持ちは、これからを生きていく大人にも子供にも非常に重要であることには変わりありません。

 

「あぁ、今日はダメダメだった・・・」なんて落ち込んだ時は、『あえて笑顔で前を向く』

考えているほど簡単ではありませんが、『幸せになろう』という気持ちは常に忘れないでおきたいものですよね。

 

 

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