『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』には、連続殺人事件現場に残された『お猪口(おちょこ)』が、犯人や犯行動機に繋がる重要なアイテムとして登場します。
お猪口とは、主に日本酒を飲むときに使われる小さな器の事。
この記事では犯行現場に残されたお猪口の意味、そしてクズすぎると言われる犯人の犯行動機について、考察を含めた解説を行っていきます。
※犯人についてのネタバレ内容を含む記事となります。ご注意ください。
目次
【天国へのカウントダウン】おちょこの意味と伏線は?
『天国へのカウントダウン』では、犯行現場に残されていたお猪口は2つの意味を持っていました。
その2つとは、
- 形を富士山に見立てた
- 連続殺人と見せかけるため
これらを順に説明します。
お猪口の形を富士山に見立てた
殺人事件の犯行現場に残されていた謎のお猪口。
このお猪口を逆さに置くと・・・
そう、富士山の形に見えるのです。
富士山と言えば日本画家の如月峰水(きさらぎほうすい)。
お猪口の形を、彼が愛してやまない富士山に見立てていたワケです。
- 大木岩松(おおきいわまつ):2つに割られたお猪口
- 原佳明(はらよしあき):2つに割られたお猪口
- 常盤美緒(ときわみお):割られていないお猪口
3つの殺人現場に置かれたお猪口には、富士山を望む景観を奪われた如月峰水の怒りが込められていました。
2つに割られたお猪口は、自身のアトリエから見える現在の富士山の景観を模したもの。
雄大な富士山を、TOKIWAの高層ビルによって2つに割られてしまった様子を表現していたのです。
ところで、第3の殺人事件の犠牲者である常盤美緒の傍に置かれていたのは割れていないお猪口でしたよね。
なぜ割れていなかったのか・・・
その理由は、『割る必要が無かった』から。
そもそも割れたお猪口は、富士山の景観2つに割られた様子を表したもの。
彼の描いた富士山の絵の前に美緒の絞殺体をぶら下げた事で、すでに富士が2つに割られた景色を模していたため、わざわざお猪口を割る必要がなかったのです。
連続殺人への見せかけ
お猪口には、富士山に見立てて景観を奪われた怒りを表す他に、連続殺人事件への見せかけという重要な意味も持っていました。
『連続殺人事件』とされたのは
- 大木岩松:刺殺
- 原佳明:銃殺
- 常盤美緒:絞殺
この3つの事件。
それぞれの犯行現場にお猪口が残されていたため、『連続殺人事件』と推定されたのです。
しかし、ここには犯人のアリバイ作りのトリックが隠されていました。
実は『犯人』である如月峰水が殺害したのは、大木岩松と常盤美緒の2人だけ。
原佳明も如月峰水にとっては殺害対象でしたが、手を下す前に黒の組織のジンによって殺害。
よって如月峰水は、原佳明殺人事件の犯人ではありません。
殺すために原の家に行ったのに、既に原は何者かによって殺害され遺体となっていた。
既に死亡=自分にはアリバイがある
如月は原の遺体を利用して『連続殺人』に見立てる事を咄嗟に思いつき、大木の時と同じように原の傍に割られたお猪口を置いたのです。
元々このお猪口は、大木殺害の時と同じように、景観への怒りを表すために持っていたのでしょう。
大木殺害とともに、現場に残すつもりだったお猪口です。
原が何者かによって殺害されていた事は、如月にとっては予期せぬ出来事だったはずですが・・・
それでも持ってきたお猪口を無駄にせず、しっかりアリバイ作りに役立てたというワケです。
警察は大木岩松殺害現場と同じように割られたお猪口を見て、まんまと同一犯人だと誤認。
もちろん、3人目の犠牲者である常盤美緒の遺体の傍にお猪口を置いたのも連続殺人に見せかけるためのトリックであり、第2の殺人でのアリバイがある如月は、3つの殺人事件に関連性がある事を匂わせて自らの罪を逃れようとしたのです。
【天国へのカウントダウン】犯人の動機がクズすぎる?
『天国のカウントダウン』において、如月峰水の犯行動機がクズすぎる!おかしい!と感じた方も多いのではないでしょうか。
まあ、如月先生が怒る気持ちも理解できますけどね。
ただ富士山が見えなくなった恨みからの殺人は、どう考えてもやりすぎです・・・
富士山が見えないから殺人?
如月峰水が大木岩松と常盤美緒を殺害した理由は、自分のアトリエから見る富士山の景観が大きく損なわれたから。
自身の日本画のテーマである富士山を一望できる丘の上に家を建て、アトリエを構えた如月。
しかし常盤美緒の経営する会社『TOKIWA』が新たに建設した高層ツインタワービルによって、富士山は2つに割られた形に見えるようになってしまったのです。
この景観への怒りが、ビル建設を進めた常盤美緒・原佳明、高層ビルを建てるために市の条例すら変えさせたという大木岩松に向けられました。
治まらない怒りから、殺人へ・・・って、さすがに殺しちゃダメですが。
どこかに家を建て直せばよかったのでは?とも思ってしまいますが、如月にとっては残りの人生のすべてを富士山に捧げるという気持ちを込めて建てた家だったはず。
簡単には引き下がれなかったが故に、殺人という最悪の方向に気持ちが向いてしまったのかもしれません。
景色のせいだけではない可能性
富士山が見えなくなった、だから殺した。
それが、犯人がクズだと思われてしまう理由ですよね。
ただ、あまりにも動機が短絡的なので、ここでは、
- 弟子である美緒の裏切り
- お金で動く市議会議員の大木
この2つについての考察を行います。
美緒の裏切り行為
殺害された常盤美緒にとって、如月峰水は日本画の先生です。
建築家の風間英彦によると、如月の機嫌が悪かったのは美緒が如月の絵を買い取った上に高く売ったから。
師匠の絵を買い取った上に、売ってしまったのですね。
如月が常盤美緒を『美緒』と親しげな呼び方をする事から、ひょっとしたら絵の売買の一件があるまでの関係は良好だったのかもしれません。
師匠である自分の絵を買いたいと言ってくれる事を嬉しく思って、如月は快く売ったとも考えられますよね。
そしてこの時、巷で評価されているような金額よりも低価格で美緒に譲った可能性もあります。
それを美緒は、高く売った。
おそらく如月は、美緒が大切にしてくれると思って売ったのでしょう。
それを他人に売られてしまったのですから、美緒の行為は裏切りだと捉えられてもおかしくはありません。
お金で動いた大木
美緒は、如月の絵を誰かに高く売りました。
高く売った事で得たお金が流れた先が、もし市議の大木だったら・・・
元々市長よりも権力を持っているという大木。
西多摩市ツインタワービル建設にあたって、高層建築ができないという市の条例を強引に変えさせたのも彼なのだとか。
大木は美緒の賄賂によって動き、その権力を振って条例を変えたという可能性も捨てきれません。
仮にこの一連の流れがあり、自分の描いた富士山が高層ビル建設のための資金になってしまっていたとすれば・・・
怒りの矛先は常盤美緒、ビル建設大きく関わった可能性の高い原佳明、さらに美緒の依頼で動いたであろう大木岩松に向けられた事への説明もつきます。
一連の殺人事件は、『富士山が見えないから殺した』という単純な動機ではなかったかもしれないのです。
まとめ
『名探偵コナン・天国へのカウントダウン』に登場する謎のおちょこの意味は2つ。
- 形を富士山に見立てている
- 連続殺人事件への見せかけ
犯人である如月峰水は、逆さにすると富士山の形になるお猪口を2つに割り、自身のアトリエからの景観が損なわれた事への怒りを表しました。
さらにお猪口を使って、如月が犯人ではない殺人事件との関連性を持たせ、まるで連続殺人事件が起きているかのように見せかけていました。
つまりお猪口は、如月の怒りの表現、そしてアリバイ作りに利用されていたのです。
高層ビルの建築により富士山が見えなくなったという理由から起きた殺人事件。
犯人が『クズ』だと思われても仕方のないほど単純に思える動機。
しかしその裏には、美緒が売ったという如月の絵、条例を強引に変えたという市議の大木が複雑に絡み合っている可能性もありますから、『天国へのカウントダウン』の意外な奥深さを感じてしまいます。
如月逮捕のその後に、大木らの不正が(あるのなら)暴かれている事を願いたいですね!
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