映画『タイタニック』の印象的なシーンのひとつが、それまで偉そうな態度をとっていた髭のおじさんが乗組員たちを船に残したまま、バツが悪そうに目をそらしながらボートに乗り込むシーン。
それを見ていた乗組員も、何か言いたげな表情を浮かべつつボートを海に降ろしていきます。
シレっとボートに乗り込んだこの偉そうなオジサンは、一体何者なのでしょうか。
乗組員たちを残して逃げた理由、そして髭の男性のその後について、考察を含めた解説を行います。
目次
【タイタニック映画】ボートに乗ったおじさんは誰?
物語後半、沈没寸前のタイタニック号から逃れるためにボートに乗った髭のおじさんは、ズバリ、ホワイトスターライン社長のブルース・イズメイ氏です。
夢の豪華客船のアイデアを考案し、タイタニック号の名付け親でもある彼。
映画『タイタニック』では俳優のジョナサン・ハイドさんが演じていらっしゃいます。
ボートに乗ったのは社長
救命ボートに乗り込んだおじさんの正体は、ホワイトスターライン社の社長です。
ホワイトスターライン社とは、タイタニックを所有するイギリスの海運企業。
タイタニックの記念すべき処女航海、そこに所有会社の社長ブルース・イズメイ氏も乗船していたというワケです。
ただし、『タイタニックの社長』としてではなく、あくまでも一般乗客として乗船していたのだとか。
社長が乗船するという事は、それだけ『タイタニック』を有力視していたからでしょう。
最先端の技術、世界一の豪華客船、1等船室の乗客はすべてお金持ち・・・
その大きさとスピードで人々の度肝を抜いて、紙面トップを飾るつもりだったようです。
船員はわざと見逃した?
イズメイ社長がシレっとボートに乗り込み、乗組員と目を合わせないようにしているシーン。
『この人、船長や船員さんたちを船に残したまま自分だけボートに乗るんだ!』って思ってしまった方も多いのではないでしょうか。
ボートに乗り込む様子を見ていた乗組員も何か言いたげな表情をしてはいましたが、結局は社長を見逃します。
社長だから、わざと見逃したのでしょうか?
いや、タイタニックが沈没する寸前、数時間後の自身の生死も分からない状況で『社長』を優遇したとは考えにくいですよね・・・
このシーン、船員が社長を見逃した理由として考えられるのは2つ。
- 『そういう人』という諦め
- 乗客だと言わんばかりだったから
タイタニック号に乗り込み、船長より権限を持っているかのような振る舞いを見せていた社長ですが、いざ船が沈むとなると船を捨て、船長や乗組員を残して自分だけがボートに乗り込むという豹変ぶり。
この様子を目の当たりにすれば、『ああ、そういう人だったんだな』と諦めに近い感情を抱いてもおかしくありません。
また、それまで『社長』として船長らに意見していた彼であっても、表向きには『乗客』。
『乗客』が救命ボートに乗ったとしても、文句は言えません。
乗組員が何か言いたげな表情を浮かべていたのも、『社長』として威張っていた人物が、いざとなったら『乗客』という立場を利用したから、だったのかもしれませんね。
【タイタニック映画】イズメイ氏が逃げた理由とその後
氷山への衝突から2時間足らずで船が沈んでしまった事を考えると、沈没間近、救命ボートに乗れずに取り残された乗客が極限の精神状態であった事は容易に想像ができます。
その中で、『社長』が乗客よりも先に逃げてしまう行為が良かったのか悪かったのか、そこに明確な答えがあるものではありません。
しかし、あえて社長が逃げた理由を考察するとしたら、助かりたいという気持ちが強く働き、沈没の恐怖から逃れたかったから、というものが濃厚ではないでしょうか。
どうしても助かりたいという気持ち
タイタニック号は出港から数日のうちに氷山に衝突し、沈没しました。
およそ2,200名の乗員乗客のうち、助かったのはわずか700名ほど。
実に1,500名が、船内に取り残されたり海に投げ出されたりして亡くなりました。
刻々と沈没の時が迫る中、当然ながらイズメイ社長も救命ボートの数が圧倒的に不足している事を知っています。
何と言っても、経費や通路が狭くなってしまうという理由で救命ボートの数が減ったのは、イズメイ氏の圧力によるもの。
沈まない船に救命ボートなんて必要ない、という考えの持ち主だったのです。
ところが、タイタニックは沈没の危機に陥りました。
逃げるならなるべく早い段階で救命ボートに乗り、沈みゆくタイタニック号から脱出しなければならないとイズメイ氏が考えた事は容易に想像できます。
沈まないはずの船が沈む・・・
死の恐怖がイズメイ社長を支配していたのでしょう。
タイタニック社長のその後
救助用のボートに乗り込んだイズメイ社長は、乗組員と目を合わせる事もせず、バツが悪そうな様子でした。
その表情から、おそらく彼は積極的に船から逃げようとする自身の行動が乗組員たちに受け入れられるものではない事を察していたのかもしれません。
実際にタイタニック号沈没事故から生還した本物のイズメイ社長は、『無責任』として人々の批判を浴び、事故の翌年にホワイトスターラインの社長を座を退いた後、世捨て人のような隠居生活を送ったとも言われています。
タイタニックに残された人々、海に投げ出された人々の事を思う事があったのかどうか、弔いの気持ちだけは忘れないでほしいものです。
まとめ
映画『タイタニック』の後半、沈没する船から逃れようとする人々に混じってシレっと救助用ボートに乗り込んだ『おじさん』は、タイタニックの所有会社、ホワイトスターライン社社長のブルース・イズメイ氏でした。
この航海では、イズメイ氏は『社長』ではなく『乗客』としてタイタニック号に乗船しており、タイタニックの沈没を信じようとしなかった人物のうちの一人。
おまけに、『沈まない』から救命ボートは必要ないとして、乗員乗客全員が避難できるだけの救命ボート搭載を認めなかった人物でもあります。
事故後に『無責任』として人々から大きな批判を浴び、社長の座を降りて隠居生活を送ったというイズメイ氏。
沈みゆくタイタニック号から逃げ出し無事に生還したものの、彼の運命はすでに大きく変わってしまっていたようですね。
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